STARLITE CREATORS Vol.14クルマづくり特集 Vol.4品質を守る最前線!品質保証チームの戦い

こんにちは、育休から復職した辻本です!約3年ぶりのCREATORS、緊張しつつもワクワクしています♡さて、皆さんは「品質保証」と聞くと、どんな仕事を思い浮かべますか?私は「工場で製品の品質をチェックする仕事」をイメージするのですが、どうやら、それはほんの一部なんですって。今回は、品質保証の最前線で活躍するCREATORSを徹底取材して、全貌を明らかにしていきたいと思います!
品質保証はなぜ必要?もし自動車に不具合があったら…?
品質保証の仕事って、試験をしてOK・NGを出すイメージなのですが…?

Y.M:結論から言うと、品質保証の仕事は「設計段階から品質をつくり込む仕事」です。単に試験をしてOK・NGを判定するのではなく、「そもそも問題が起きない設計になっているか」を確認し、もし不具合のリスクがあれば、その原因を追究し、解決策を提案する。設計部門と一緒になって、品質基準を満たすための仕組みをつくる、これが私たちの役割です。
品質を作り込むサイクル


I.M:Y.Mさん、それを最初に言っちゃうと出オチ感がスゴいことに(笑)身近な話をすると、ドアの開閉がスムーズでなかったり、ダッシュボードの色が微妙に違っていたら「あれ?」と違和感を覚えますよね?もし走行中に部品が外れたり、エンジンが止まってしまったら、大事故につながる可能性もあります。

S.S:こうしたトラブルが起きないように、「自動車の品質を守る仕組み」をつくるのが品質保証の仕事です。部品単体では問題なくても、「いざ自動車に取り付けて運転していたらガタがでた」なんてことになったら大問題。その懸念を払しょくすべく、設計段階から試験評価を行い、徹底的に品質のリスクを洗い出し、検証して最高の品質を維持するための対策を講じるんです。

Y.M:自動車の品質を守る仕組みは、自動車業界の国際基準「IATF16949」に基づいています。社内の品質ルールを定期的に見直し、最新の基準を満たすためのアップデートを常に行っています。

試験してOK・NGを出すんでしょ?とか聞いてた私が恥ずかしい…!みなさんは製品不良を出さないための防波堤を築き、品質基準を満たすための戦略を練っているということですね?

I.M:なんか、その言い方めちゃくちゃカッコいいですね(笑)確実に勝てる戦略を練るのは情報戦なんですよ!業界の先端を走って、最新情報をキャッチしながら、品質ルールを見直していくんです。1年半で100件近く改定したときは、本当に大変でした…(遠い目)

S.S:あれは大仕事だったよね。でも、お客様や現場の混乱を防ぐために、営業や開発と連携してルールを明確化して、かつ使いやすい形に改善するのも私たちの役割。広島工場と山口工場の基準統一も進めました。

I.M:例えば、お客様からのクレーム対応履歴ひとつにしても、人によって使うワードがバラバラだとデータが探せなくて困るんですね。「同様のクレームは発生してる?」「そのときの対応は?」とかが一瞬で分かれば、素早く対応できるのになって。

Y.M:そのために、お客様に対応した履歴の記録方法を統一して、情報を整理しやすくしたりね。こうした、日々の気づきをルール化・運用していくことも、品質向上につながるんです。
車載環境での使用に耐えうる、万全の品質強化体制を追求する
S.Sさん、I.Mさんは試験評価をメインで行っているとのこと。具体的に、どんな試験を?

S.S:試験評価は、製品が要求される品質や性能を満たしているかを確認する仕事。他部門と連携して「金型の精度は保たれているか」などを確認します。その試験データを基に品質を保証するんです。
金型については「Vol.7 型にハマらず突き進め!スターライトの金型技術」をチェック↗
I.M:私はAGS(アクティブグリルシャッター)の試験が大好きで、試験に使う恒温槽が推しです!AGSは、アクチュエーターというモーターを使って開閉する製品で、どんな温度環境でもスムーズに動作しなきゃなんです。この恒温槽は-40~85℃までの温度に対応可能。極寒のロシアから灼熱のデスバレーまで、自動車が走行する温度環境を再現して試験できるんです。ね?スゴくないですか!?

I.Mさんの恒温槽愛、しかと受け取りました…!

S.S:AGSはエンジン付近にあるため、高温環境下での耐久性試験は必須。プラスチックは熱膨張が大きいので、高温になるとパーツ同士の隙間がなくなってぶつかったり、急な温度変化に何度も晒されると歪みが蓄積して破壊が生じることもあるからです。

I.M:だからこそ、常に最悪の事態を想定した条件で徹底的に試験して、製品の挙動を把握しているんです!
AGS(アクティブグリルシャッター)とは?
ビジネスパートナーであるドイツ企業「ロシュリング・オートモーティブ社」とスターライトが世界に展開する、自動車に欠かせない製品。ラジエーターグリルの後ろに設置され、エンジンルームへの外気流入を制御することで、暖気時のエネルギーロスを削減する。さらに、空気の流れを最適化し、空気抵抗を低減することで燃費向上にも貢献する重要なユニット。AGSがない場合、エンジンが冷えた状態から暖まるまでに時間がかかり、燃費が悪化する可能性がある。また、高速走行時などに不要な空気抵抗が増え、車両のエネルギー効率が低下する。結果として、燃料消費量が増加し、CO₂排出量の増加にもつながる。

試験評価は知識と経験の蓄積が武器!では、ご自身が武器を手にした…もとい、成長されたなと思うエピソードを教えてください。

S.S:一番の学びは、サブタンクの耐圧試験でしたね。エンジンが高温になると、冷却水が膨張して冷却回路から溢れることがあります。それを受け止めるのがサブタンク。システム内の圧力を安定させる役割を果たします。
サブタンクとは?
エンジンの冷却システムにおいて、冷却水を適切に循環させるための補助タンク。冷却水はエンジンの温度変化に伴い膨張・収縮するため、リザーバーとして機能し、冷却系統内の圧力を安定させる役割を持つ。オーバーヒートの防止や、冷却水の不足を防ぐために欠かせない部品。サブタンクに不具合がある場合、冷却水の適切な調整ができず、リザーバー機能が低下する。冷却水の膨張時に余剰分が逃げられず、ラジエータやホースからの漏れにつながる可能性がある。逆に、冷却水が不足しても補充が行われず、エンジンの冷却不足によりオーバーヒートのリスクが高まる。最悪の場合、エンジンの焼き付きや重大な故障につながる恐れがある。


I.M:でも、新形状の試作品で悲劇が起きたんですよ。最悪の事態を想定、つまり高温で圧力をかける試験中に製品に亀裂が発生して冷却水が漏れて。想定外すぎて、攻略に苦労しましたよね…。

S.S:応力集中を避けるべくタンクのR形状(カーブ)を手加工で調整してみたり、剛性を高めるべく板厚を厚くしてみたり、いろいろ工夫・対策しても漏れてしまう。「なんで!?なんで漏れるのよぉぉぉ!」と叫びたかった。

I.M:いや、実際に叫んでましたよね(笑)当時は、設計部門と協力して原因追及と検証を繰り返してましたよね!私たちの検証結果をもとに再設計してもらって、CAEでシミュレーション。試作して、また検証してのエンドレス。

S.S:あのときは本当に、運命共同体だった(笑)議論して、両部門の専門知識と経験のすべてを出し合って、まさに総力戦。このとき知ったコトはすごく大きな学びでした。そしてついに、漏れを克服して試験に合格したときは、お互いに「やったー!!」って。あの達成感はひとしおでしたね。


仲間と次々に試練を攻略していく、それが品質保証の醍醐味!最後に、今後の抱負を教えてください。

S.S:私、語りすぎたので、Y.MさんとI.Mさんにバトンタッチするね(照)

I.M:最初は自動車にも製品構造にも興味がなかったんです。でも、実際に製品に触れて、試験を通じて「こういう仕組みなんだ!」と理解できて、どんどん面白くなりました。その製品が目の前の自動車に役立っていると気づいたとき「もっといろいろ知りたい!」と思ったんです。

S.S:分かる。図面では分からなかった動きや、試験でNGになったときの状態が見えてくると「なるほど、こうなっているのか」と製品の機能や使われ方が実感できるよね。

I.M:そうなんです、そこからハマっちゃって!未経験の製品に挑戦するときは、設計部門と一緒に対策を話し合って、試験を重ねながら知見を深めていきます。そうして、安心して使える製品を自動車にどんどん搭載していきたいです!

Y.M:品質保証の仕事は設計段階での各レビュー、工程内不良の調査、お客様からのクレーム対応など多岐に渡りますが、課題は「属人化」。個々のスキルに頼るのではなく、「データを活用して誰でも判断できる仕組み」をつくることが大切です。

I.M:そのためにも「データを活用しやすい環境づくり」をしなきゃですね!判断基準になる情報を記録・蓄積したデータをすぐに取り出せるようにしたい。AIも取り入れば、もっと効率的に品質保証ができると思うんです!

Y.M:そしたら、みんながさらに自分の技術を磨く時間が増えるだろうし、その結果、お客様が求める「品質」により速く確実に応えることができるはず。そんな良い循環をつくっていけたらいいなと思います。
インタビューまとめ
品質保証は単なるチェック作業ではなく「自動車の安全と信頼を守る最前線」でした!試験評価の徹底、データを活かした品質改善、他部署との連携など、すべてが高品質な自動車を生み出すための大切なプロセス。そして何より、CREATORSの熱意とプライドがビシバシ伝わってきました!「品質保証は製品の未来をつくる仕事」――彼らの挑戦は、これからも続いていきます!今年度の記事はこれでラスト。新年度もたくさんのCREATORSを取材していきます。次回もお楽しみに!

お客さまとのパートナーシップで新しい共創を。
当社は、品質保証の最前線で培った知見を活かし、設計段階から品質をつくり込むことで、安全で信頼性の高いモビリティづくりを支えています。お気軽にお問い合わせください。