STARLITE CREATORS Vol.9海外ビジネスは「人づくり」にアリ!
自立共創を目指すグローバルなCREATORS

海外ビジネスは「人づくり」にアリ!自立共創を目指すグローバルなCREATORS

こんにちは。スターライトの広報担当 辻本です。STARLITE CREATORSも9本目に突入。ついに、私は日本を飛び出し、海外のグループ会社を取材しちゃいますよ!スターライトのグローバル進出を切り拓いてきた開拓者たちは、どんな想いでここまで突き進んできたのか。現在、タイで会長をしているY.Tさん、中国で副総経理(副社長)をしているI.Sさんにさっそく、話を聞いてみましょう!

海外赴任は突然に

初めての海外赴任はどのような経緯で決まったのでしょうか。

Y.T

Y.T:私はエンジニアとして1996年にタイのTHAI STARLITE Manufacturing(以下、タイスターライト)へ赴任しました。栗東事業所でコピー機のフレーム・ケースなどの金型設計や、生産の立ち上げに奮闘していたある日、上司から突然「タイスターライトで日本品質のモノづくりができるようにして来い」と。実は、すでに心づもりは出来ていました。先に行った先輩に「次は、お前やで!」と指名されていましたから(笑)

I.S

I.S:私もYさんと同じく突然でしたね。星光樹脂を自立させ、中国市場を開拓していくというミッションのもと、2003年に中国の星光樹脂製品(昆山)有限公司(以下、星光樹脂)へと渡りました。2001年、中国のWTO加盟による市場開放を背景に日系企業がどんどん進出していた時期でした。

中国では日本の流儀が通用しなかった

Iさんが実際に見た中国はどのようなものでしたか。

I.S

I.S:私が幼少期を過ごした1980年代の日本にタイムスリップした感覚でした。いまの中国からは想像もできないでしょうが、赴任当初は星光樹脂の周りには農村が多く、インフラもまだまだ整っていなくて。また、文化の違いもあり、最初は現地社員とのスレ違いがたくさんありました。例えば、日本では少しでも揉め事が起こるとすぐに謝り、その場を収めることが多いけれど、中国ではそれが通じず戸惑いましたね。また、部下がミスしたときに叱責するとそっぽを向かれたり、担当以外のフォローをお願いしても「それは私の仕事ではありません」と平気で返されたりしました。このようなことが続いて、言いたいことも言えず段々とストレスが溜まってしまって。

それを乗り越える転機はどのように訪れたのでしょうか。

I.S

I.S:先輩に相談するとすぐさま「それは、お前が悪いわ」と諌められ、中国人の価値観や仕事観を教えてくれました。中国人にとって謝罪はきわめて重い行為であること、人前で叱られるのは耐えられないほどの屈辱的な行為であること、どう動けば自分にとってメリットがあるか常に合理的に考えていることなどです。つまり、現地社員は素直に私に接してくれていただけだった。私は中国人の価値観を蔑ろにして、日本人的な考えを勝手に押し付けていたんですね。

それからは、中国人の価値観を学び、相手の考えを知り、そのうえで私の意見を伝えなければと行動を大きく変えました。部下が仕事でミスしたときは、まず言い分を聞いたあと「このように改善してほしい、理由はこうだからだ」と論理的に丁寧に説明しました。もし叱る場合でもこっそり個室に呼んで「次どうすべきか」を話し合う、そして改善してくれたら大袈裟なくらいに褒めました。また、与えられた仕事以外に関心を示さない社員には「これをやると、こういうメリットに繋がる」と向上心が高まるようコミットメントし、一緒に実現できるよう協力しました。そうしているうちに、だんだんと心が通い合い、現地社員の優しさ、大家族を想う心の温かさに触れて頑張ってこられた。みんなのおかげで、いまの私があるんです。

大切にした部下との信頼関係を築く
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初めてのタイ駐在は、自分のことで精一杯だった

Yさんは、タイ人の価値観にどう向き合われましたか。

Y.T

Y.T:最初にタイへ行ったときは正直、現地社員には助けてもらうとか期待していませんでした。私の役目である日本からの生産移管は、私ひとりで何とかしなければならないと勝手に思い込んでいたんです。

特に、技術的なことは全部自分がやらねば!ということで、量産品の不具合が起きれば工場へ金型を持って走ったし、予定の原料が手に入らないときは自分の判断で材料変更もしましたね。金型メーカーや材料メーカーには「お前、また来てんのか」と呆れられるほど駆け回っていました。ひとつ解決したらすぐに新たな問題が出てきて、毎日がモグラ叩き状態。このときは、生産を止めないことだけを考えていました。「自分が出来ないと言ったらタイスターライトは終わる、自分が何とかしなければ!自分が、自分が!」と必死でした。だから当時は現地社員と学び合うような場をつくれなかった。帰国後に、とても残念で申し訳ないことをしたと後悔しましたね。

その後、2018年に再びタイスターライトへ赴任されていますよね。

Y.T

Y.T:この赴任の前、私は星光樹脂を統括する役割をしていました。急成長する中国社会をリードする人材を育てるべく技術指導や環境改善に夢中で取り組む中で、「これをタイでもやってあげたかったな」という想いが何度もよぎったのです。やはり、タイスターライトでのことはずっと心残りだったんですね。だから、星光樹脂での実績が認められて、タイスターライトへの再赴任が決まったときは運命だと思いました。「やっと、恩返しできるぞ!」と。

One STARLITEで社員同士が理解し合い、高め合える環境を整える

タイスターライトへの恩返し、その想いがYさんを突き動かしているのですね。

Y.T

Y.T:現在、経営者としてタイの財務や労務、法務を学び、現地のコンサルタントや顧問弁護士と協力して働く環境を徐々に整えています。さらに、日本人駐在員と現地社員がもっと向き合い、しっかり対話して一緒に成長し合えるようサポートしています。具体的には、日本人駐在員が積極的にタイ語をマスターできる機会(語学学校や家庭教師など)をつくり、現地社員との直接対話を実践してもらっています。この取り組みは中国でも実施していましたね。

そして、現地社員に対してはKY(危険予知)教育に力を入れています。利益の前に安全(命)優先なのは国が違えど同じだからです。全工場で5S*の徹底や赤エフ活動*を実施し始めたときは「面倒だ」と大ブーイングでしたが、私から率先して実施し、どんどん改善効果が出てくると「あれ、仕事がしやすくなってきたぞ」「Yは自分たちのことを本気で大事に考えてくれている」と感じてくれて。いまでは現地社員のセクションマネージャーが先生となり現場教育をしてくれるまでに盛り上がっています。

KY(危険予知)教育により仲間を気遣い、
助け合う風土が育まれている

KY(危険予知)教育により仲間を気遣い、助け合う風土が育まれている
  • 5S活動:整理・整頓・清掃・清潔・しつけを意味し、製造業の生産現場における、工場改善の基本となる考え方。
  • 赤エフ活動:工場に存在する危険個所、設備の故障状況を見える化する活動。

どこでもやっていけるよう、人として一人前になってほしい

現地社員の成長をサポートするうえで、大切にしていることはなんでしょうか。

Y.T

Y.T:中国でもタイでも、現地社員と学び合う中ですごく感じるのは、改めて人はみな異なるということ。日本での経験から「これができたら、これもできるやろ」と乱暴に決めつけず、まずはそれぞれの国の文化や教育についてしっかりと理解しなければなりません。そのうえで、我々の想いや考え方をしっかり丁寧に伝えていく。もちろんスターライトらしさもね。これが伝えられなければ、私の存在価値も消えてしまう。

「二度目のタイ駐在では自分の知恵と経験を余すことなく伝えたい」とY.Tさんは目を輝かせる
「二度目のタイ駐在では自分の知恵と経験を余すことなく伝えたい」とY.Tさんは目を輝かせる

海外にも伝えていきたい「スターライトらしさ」とは?

Y.T

Y.T:私が思うに、自分でどこか目標地点を決め、流されずに、諦めずにやる向こう気の強さだと思いますね。指示待ちでなく、自分たちのアイデアでどんどん動く。タイスターライトはまだ道半ばだけど、星光樹脂ではかなり浸透しつつあると感じます。

I.S

I.S:そうですね。これは中国の教育制度の影響だと思いますが「自分がどうしたいか」よりも「立派な人間と認められるように」という基準で行動する傾向がまだ強い。仕事でも一番楽なのは「黙って上の指示に従う」ことで、最近は日本人でもよく見かけます。しかし私は、Y.Tさんがつくったベースを基に、もっと「自分で決めて自分で責任を取る」という自立した考え方が進む “きっかけづくり”をしています。

例えば、リーダーとしてプロジェクトをまとめる、フロントに立ってお客様とやりとりするなど、とっさの判断が必要になる業務を任せています。判断力を養うために必要なのは、経験の連続です。「問題にぶつかる」→「自分で考えてみる」→「行動する」→「改善する」を繰り返すことで、次第に判断力とともに自信も身についていきます。このように現地社員を認めてマネージメントを任せ、良い結果を出したときはみんなの前で褒める。

みんな、もともと合理的で行動力があるし、本気になったときのパワーはものスゴい。少しの失敗を恐れず挑戦し続ける風土ができ、どんどん自分の考えを実践で活かして自信に繋げ、より大きな喜びを得てくれると期待しています。

「この子らが独り立ちして立派に生きていけるよう成長させてあげたい」と語るI.Sさん
「この子らが独り立ちして立派に生きていけるよう成長させてあげたい」と語るI.Sさん

インタビューまとめ

最初はけむたがられても、諦めずに粘り強く人と向き合っていくSTARLITE CREATORSの心意気は海外でも存分に発揮されていました。国や言葉が違っても、STARLITEの価値観は同じだと改めて実感し、海外への広がりに期待が膨らみました。

国や言葉が違っても、STARLITEの価値観は同じだと改めて実感し、海外への広がりに期待が膨らみました。

お客さまとのパートナーシップで新しい共創を。

タイスターライトと星光樹脂の情報は、事業所紹介にも掲載しています。ぜひご覧ください。