STARLITE CREATORS Vol.1独自のCNF分散・乾燥技術で、美肌効果?

STARLITE CREATORS Vol.1 独自のCNF分散・乾燥技術で、美肌効果?

みなさんこんにちは、スターライト工業の広報担当の辻󠄀本です。今回は、次世代材料として注目されている「セルロースナノファイバー(以下CNF)」の研究について、調査調査!もう、ナノとつくだけでなんかワクワクします。CNFは、植物由来のカーボンニュートラル素材で、「軽い」「強い」「硬い」「高透明性」など多くの特長を持つのですが、光の波長以下のナノの世界での制御がきわめて難しく、普及に向けた課題も多いとか。美肌にいいとの噂も小耳にはさんでいるので興味津々です。

さっそく、CNFの水系分散・複合化技術の開発を担当するF.Mさんに話を聞いていきましょう!

さっそくですが、CNFってなんですか?

はい!CNFとは、植物の主成分であるセルロース繊維をナノ化した材料のことで、「ナノファイバー」という名の通り、サイズがミリの百万分の一レベルのごくごく細い繊維なんですが、強度は鉄の5倍、重さは1/5、熱膨張はガラスの1/50という驚異的な特性を持ちます。なので、世界中でその実用化の開発競争が繰り広げられています。

鉄の5倍!?なんでそんなにスゴいんですか?

それは、CNFがナノスケールであることがポイントです。ナノファイバーは比表面積がきわめて大きく、樹脂などの媒体との接着面積も大きくなるため、少ない添加量で高い補強効果を発現させることができるのです。また、CNFを可視光波長(400~800ナノメートル)の1/10以下のスケールで分散させれば、光の散乱がきわめて小さくなり、自然光ではCNFが見えなくなります。つまり、“透明な補強”となるため、例えば塗料の色調を変えることなく強い塗膜が作れたりします。

少ない量で高い効果....実用化はまだなんですか?

優れた特性があるのでより多くの製品で使いたいのですが、CNFの1本1本のサイズが小さすぎてバラバラに分散させるのがとっても難しい。髪の毛の太さの10万分の1、新型コロナウイルス(100ナノメートル)よりもさらに小さいサイズです。

これだけ小さいと、分子同士を引きつけるファンデルワールス力や、水酸基同士の結合力およびCNF表面の帯電による電気二重層の相互作用などのきわめて小さい力でも付着・凝集してしまい、一度再凝集するとなかなかバラバラになりません。CNFはナノに分散してこそ、その真価が発揮されるため、その分散制御がとても重要なのです。

スターライトのCNF分散制御技術

ナノ素材の分散...小さすぎて宇宙です...

でも、ご安心を。度重なる研究で「水系分散に着目したCNFのナノ分散体の製造方法」を確立しました。市販されているCNFはある程度のナノ化がされているものの、樹脂への複合化には十分でないため、一般的にはCNFの水酸基を疎水化する化学変性を行います。これには、各CNFメーカーに合わせたそれぞれの処理が必要です。スターライトはその処理を不要にするだけでなく、樹脂に混合しやすくする一連の製造プロセスを開発しました。

CNF談議が本当に楽しそうな開発担当「F.M」さん
CNF談議が本当に楽しそうな開発担当「F.M」さん

難しくなってきたぞ...樹脂に複合化しやすいCNFの製造方法ってことですか?

そうです!スターライトはCNFを水系に分散させることに特化した、下記のような製造プロセスを確立させました。

step.1
「高分子分散剤」+「ビーズレス分散法」

どんなCNFでも前処理なしで水系ナノ分散できる

step.2
「非加熱乾燥法」

ナノ分散させたCNFの樹脂への混合性を向上させる

一般的なナノ粒子の分散法では、スクリューの回転でビーズをナノ粒子に衝突させて微粒化して分散させます。しかし、ビーズは破損しやすく、その破片の除去・分別の作業が必要になる、そんな課題があったんです。スターライトの「ビーズレス分散法」は高分子分散剤の効力が最大限に発揮され、ナノ分散化・再凝集防止はもちろん、ビーズがないので、処理後のビーズの抜き取り作業が不要となり、工数削減と大量生産が可能になりました。さらに、粉末化のために加熱乾燥させると、一般的な手法ではCNFが薄皮のような板片状になってしまうので粉体の樹脂に混ぜにくいものとなるのですが(図A)、加熱でも減圧でもない特殊な手法で乾燥させることで、CNFは図Bのようにちゃんと粉体状に仕上げることができるようになりました。

加熱乾燥法のCNF(パサパサの板片状)
図A加熱乾燥法のCNF
(パサパサの板片状)
非加熱乾燥法のCNF(サラサラの粉体状)
図B非加熱乾燥法のCNF
(サラサラの粉体状)

この製造プロセスによるCNFナノ分散体に、CNFと馴染みの良い水溶性樹脂、そして高強度化や耐熱、ガスバリア性などの機能を発揮するための架橋剤を配合し、乾燥させた粉末タイプを「滋賀プロセス」水溶液タイプを「びわ湖プロセス」と名づけました。

...分散と乾燥技術がすごいということか。ところで、美肌の実用化はまだですか?

美肌美肌と(笑)。一見、樹脂と化粧品は違うように感じるかもしれませんが、ナノ技術の前では分散させる媒体が違うだけで、考え方は一緒なんです。例えば、化粧品なら水や油のベースに顔料や紫外線防御粉体粒子を分散させますが、これらがCNFと一緒に超均一分散すれば、発色や日焼け止め効果がグッと上がります。さらにですよ?ナノスケールのCNFは顔料などの超均一分散化をアシストし、粒子の隙間に入り込むことで塗り心地が向上しますし、塗った表面なんかツルツルに仕上がると思います。

CNF分散により表面がツルツル仕上げ

キター!絶対に買うので急いでください!

化粧品と同様に、顔料の分散が重要な塗料やインキでもCNFは注目されていて、その分散技術の追求は「永遠のテーマ」といわれています。私はCNF分散・複合化技術のフロントランナーとして、このテーマに挑戦し続けます。この技術がもっともっとたくさんの用途で活躍するという夢を実現するために!

インタビューまとめ

  • CNFには優れた機能がたくさんありそう
  • だけど、分散制御が難しくて実用化に課題あり
  • スターライトはこの課題を解決する技術を開発
  • それが、水系樹脂へのCNF分散制御・複合化技術だった!
開発「F.M」と広報「辻本」

お客さまとのパートナーシップで新しい共創を。
ぜひご相談ください。

スターライト独自となる、水系樹脂へのCNFの分散制御・複合化技術と共同開発ノウハウにより、ご要望に合わせた CNF・分散剤・各種水系樹脂 を組み合わせたカスタマイズにお応えします。お気軽にお問い合わせください。