神戸市さま × 災害用トイレ(クイックハウス&マンホールトイレ) 神戸市さまとの「共助」で誕生した「機能」は、避難所には欠かせない衛生的で安心安全な災害用トイレへと進化し、そのスタンダードとして広がり続けています。

神戸市さまとスターライトの共同開発により誕生した災害用トイレ。その”安全性と衛生性”で、避難所生活に大きな安心感を与えています。そのキーとなる「クイックハウス&マンホールトイレ」開発秘話をお届けいたします。

安全性と衛生性で、避難所生活に大きな安心感を与えています。

クイックハウス&マンホールトイレ

クイックハウス&マンホールトイレ

クイックハウス&マンホールトイレは避難生活でも安心して使用できるよう開発された頑丈な災害用備蓄トイレ。長期間備蓄や緊急時運搬に欠かせない薄さと組み立てやすさに加え、阪神淡路大震災での教訓を生かした防犯面や衛生面での機能も備える。少量の水でも作動するオートフラッパーで、災害時に急増する衛生的なトイレ環境ニーズ下でも長期間安心してお使いいただけます。

クイックハウス

On Your Side Vol.6 KOBE City × STARLITE企業さまとの「機能」対談シリーズ

KOBE Cityさまとの「機能」対談

KOBE City:十都さま「避難所で今、求められているのは、女性やお子様の安全性やプライバシーにも配慮した安全安心設計の災害用トイレです」

スターライト工業:尾茂弥本日は貴重なお時間をいただきありがとうございます。阪神淡路大震災をきっかけに防災対策に熱心に取り組まれている神戸市さんと災害用トイレをテーマにしたお話しができることをとても楽しみにしていました。また阪神淡路大震災後から「クイックハウス&マンホールトイレ」をお使いいただきありがとうございます。

スターライト工業:花岡

スターライト工業:花岡はじめまして、スターライトでマーケティングを行っている神戸市在住の花岡です。わたしは生まれも育ちも神戸市で、しかも地元の近所の公園での対談ということもあって、本日のテーマ「災害用トイレ」をとても身近なことに感じていますので、「災害用トイレ」についてしっかりとお話しを伺おうと意気込んで来ました!わたしは阪神淡路大震災の後に生まれた世代で、震災のエピソードは幼い頃から被災を経験した両親より伝え聞いてきました。この公園、六甲山が見える開放的な空間なんですが、もともと震災でマンションが倒壊した場所なんですよね…とても複雑な心境です。

KOBE City:十都さまわたくしどもも改めて災害用トイレについて考えるいい機会だと楽しみにしていました。花岡さんは「神戸市民」でもいらっしゃるので、今日はしっかりと神戸市の取り組みをお伝えしたいと思います。

震災では、建物倒壊などの被害はもとよりいたたまれない出来事も本当に多く花岡さんの心中お察しします。神戸市は震災以降二度とあんな災害は起こしたくないという強い決意で震災に強いまちづくりをすすめ 、まずは安全な避難場所を確保しようという考えをもとに、この公園のような避難機能も備えた新しい施設を増やしてきました。

KOBE City:十都さま

災害で避難所を開設した後、すぐに必要となるものはなんだと思いますか?実はトイレなんですよ。そこで指定避難所である小中学校や公園を中心に神戸市内149箇所に、災害用トイレをはじめさまざまな災害用品の備蓄をしています。災害用トイレとしては、290基(60箇所)の「公共下水道接続型仮設トイレ(マンホールトイレ)*1」を整備拡張、災害用トイレ全体としても初動対応用として250人あたり1基の備蓄、後続対応用として100人あたり1基を整備してきました。

  • 1 公共下水道接続型仮設トイレ(マンホールトイレ)

    仮設水洗トイレ用の下水道管をあらかじめ布設しておき、災害時には仮設トイレ用下水道管に設置されたマンホール上部に仮設トイレを組立・設置し、下水道に汚物を直接流すもの。これによりくみ取りの必要がなく、クリーンなトイレ環境を保つことができます。

さらに神戸市では南海トラフ巨大地震が発生した場合、ピーク時は44,115人の避難者を想定、1人のトイレ利用回数を5回/日、2週間の必要数を約200万回と試算しています。災害用トイレの洋式化にも努め、女性やお子様への安全性とプライバシーにも配慮した安全安心なトイレ環境を確保しています。運用面でも防災訓練を毎年開催し、参加される方々には災害用トイレを実際に組み立て設置していただいています。この避難所にもスターライトさんのマンホールトイレが5基備蓄されています。

災害トイレエリア
災害トイレの運搬
マンホール
マンホールを開ける
クイックハウスを立てる
クイックハウスとマンホール
ファンの設置
留め具をつける
ペーパーホルダーをつける
床板を敷く
便器を設置
便器とクイックハウス
屋根をつける
水を灌ぐ
マンホールトイレの構造

ハード面の充実と合わせて大切になるのはソフト面の運用です。災害時には被災地の方々だけでなく、災害に遭っていない方々ともつながることはあらゆる面で大切になります。神戸市のWEBサイトをはじめさまざまな媒体を通じてこういったつながり「公助・自助・共助*2」の大切さについて発信を行っています。

  • 2 公助・自助・共助

    行政による公助、一人ひとりが自ら防災に取り組む自助、社会とのつながりのなかで助け合う共助の意味。
KOBE City:入佐さま

KOBE City:入佐さま入佐です。よろしくお願いします。阪神淡路大震災以降、東日本大震災をはじめ日本各地で大きな地震が頻発しています。大型台風の上陸やゲリラ豪雨の影響による水害被害も急増して国土交通省や気象庁は、避難を前提とした行動を積極的に呼びかけるようになりました。神戸市でもハザードマップをつくり避難所への避難を呼びかけることがとても多くなりましたが、避難行動にはなかなかつながっていないのが実状です。

阪神淡路大震災ではわたしも近隣の西宮市で被災しました。わたしにも花岡さんと同じ年頃の家族がいますが、災害に対する備えを少しでも知っておいてほしいという思いで、子どもたちが小さい頃から震災での出来事を話しています。

スターライト工業:尾茂弥「避難所トイレを衛生的に使えることは災害関連死を防ぐことにもつながるとても大きな問題」

スターライト工業:花岡物心ついた時から震災のエピソードはよく耳にしていました。震災は未明におきたので、避難所へ駆けつけた方々のほとんどは着の身着のままだったんですよね、近くの小学校に避難したものの震災直後からトイレに長い列ができて、しかも断水で水が流せなかったり…。衛生面の問題はとても深刻だったと聞いています。その断水は数週間も続いて、、ということはその期間、普通にトイレが使用できないってことですか!?そんな状況でみなさんどう過ごされていたんですか?

KOBE City:十都さま当時被災したわれわれも花岡さんと同じ気持ちでした。神戸市は当時すでに水洗化率が97%と高く、汚物の収集をするためのバキュームカーは市内にたった5台、仮設トイレの備蓄もありませんでした。

すぐに全国から仮設トイレ3000基とバキュームカーを要請、応援人員の方々にも駆けつけていただいたんですが、地震発生直後から幹線道路にはがれきが点在していたところに全国からの緊急車両が集中したことで昼夜を通して大渋滞が数日間続きました。もちろん仮設トイレの設置やバキュームカーでの収集は全く進みません。その間避難所や公園の公衆トイレの汚物の山はさらに悪化していく一方で、被災者の健康被害は瞬く間に増加していきました。

KOBE City:十都さま

スターライト工業:尾茂弥トイレができないことはおろか、手洗いやトイレ掃除が出来ない衛生環境でも、健康被害や感染症への罹患から集団感染を引き起こすリスクは高まります。トイレが衛生的でなくなると被災者は出来るだけトイレに行かなくても済むよう水分を摂ることを控えてしまう。結果、脱水症や血圧上昇、膀胱炎、エコノミークラス症候群などで命を落とす方もでてくる。安心して使用できるトイレ環境の確保は関連死を防ぐことにもつながるとても大きな問題なんです。

スターライト工業:尾茂弥

その当時公共施設向けのトイレ開発を担当していたスターライトの当時の担当者小山は、避難所トイレの問題を聞きつけるや居てもたっても居られず、水や袋を持参して避難所をまわりトイレの汚物の山を処理していきました。小山だけでなくそんな活動をするボランティアの方々はたくさんおられたそうです。今となってはそのボランティアの方々の衛生面がとても心配になりますが、当時はそれより他に方法はなかったんですね。そうこうしているうちに現地ではさまざまなご意見をいただくようになり、それをきっかけに神戸市さんと新しい災害用トイレの開発を始めることになりました。

KOBE City:入佐さま「このマンホールトイレは、被災者の声が反映された災害用トイレといえるでしょう」

KOBE City:入佐さまこれが当時の小山さんの記録ですね、それにこれがマンホールトイレの開発について掲載された当時の新聞記事です。ここにも記載がありますがマンホールトイレのよさは衛生的なところです。ここのポンプから入ってきた水が、下水道本管につながる支管に溜まった排泄物を流すしくみです。プールの水や雨水を使う仕様になっているので、災害時断水であっても問題なく衛生的にトイレをすることができます。

「より安心できる災害用トイレ」の開発

オートフラップが悪臭対策もしてくれます。また凝固型簡易トイレは溜まった排泄物を凝固剤で固め、袋でまとめて回収するような仕組みになっています。神戸市ではマンホールトイレが設置できない場所を中心にこの凝固型簡易トイレと凝固剤を備蓄しています。クイックハウスはこの小山さんの資料にもある通り、被災者からいただいたお困りの声を反映した災害用トイレで、とても頑丈なため防犯面でも安心してお使いいただけます。

一定量の水が貯まるとフラップが開く「オートフラップ」

神戸市では東日本大震災の支援のため市内の避難所に備蓄しているクイックハウスや凝固型簡易トイレなど全ての災害用品や備品をかき集め、さらにスターライトさんにあるありったけの災害用品を提供してもらいました。クイックハウスは折り畳むと薄くなるので、被災地への運搬に大変重宝しましたし、車いすやお子様づれの方々向けに広めのクイックハウスもあるので、現地でも大変喜んでいただけました。臭気対策や夜間での防犯対策もされているので安心して薦めることができます。

被災者からいただいたお困りの声を反映した災害用トイレで、とても頑丈なため防犯面でも安心

スターライト工業:尾茂弥大変恐縮です。喜んでいただけて本当によかったです。地震発生の2日後には全ての災害用トイレを被災地にむけ運搬を始められたと聞いています。危機管理室が中心となった神戸市さんの危機管理体制と機動力には本当におどろきました。

KOBE City:十都さまいえいえ、私たちは大震災を経験したからこそ、被災地の大変さを何よりも一番痛切に感じることができる、それが一番の原動力なのかもしれないですね。花岡さんのような若い方に関心を持っていただけるととてもやりがいになりますし、将来世代の防災意識の向上のため、さまざまなかたちで「公助・自助・共助」の大切さを伝えていかなければと感じています。これらの活動のフィードバックや気づきは、危機管理室が「神戸市地域防災計画」などに反映して毎年見直しをしています。またメディアを通じた積極的な発信も行っています。

KOBE City:入佐さま「ぼうさいこくたい*3」の開催の意義はまさにその延長線上にあります。神戸市はこれまで大震災の記憶を伝え復興に取り組んできました。過去の経験に学び将来起こる災害に備える。行政による公助だけでなく一人ひとりが自ら防災に取り組む自助、社会とのつながりのなかで助け合う共助を広めていきたい。一人ひとりの防災意識を高めることが大切ということを改めて多くの方々に発信していきます。

  • 3 ぼうさいこくたい(防災推進国民大会)

    平成 27 年3月「第3回国連防災世界会議」で採択された「仙台防災枠組 2015−2030」では自助・共助の重要性が国際的な共通認識とされ、これを踏まえ防災推進国民会議が発足。2016年より内閣府防災担当が防災推進国民会議と防災推進協議会が協力し、国民全体で防災意識を向上することを目的に「ぼうさいこくたい」を毎年度開催。2022年は「阪神・淡路大震災記念人と防災未来センター」の開設 20 周年にあたることから、同センターをハブとして「ぼうさいこくたい」を開催し、新たな交流・知見共有のモデル を全国に提示する機会とします。
一人ひとりの防災意識を高めることが大切

スターライト工業:花岡「“備えておくことは大切だ”という被災された方々の切実な声を全国に届けたい」

スターライト工業:花岡震災当時も神戸ではたくさんの海外の方々が住まれていて、被災された方も多かったそうです。災害用トイレはもとより海外からの方々の目線でも避難所を運営できれば、避難所生活全体にもっとプラスの効果が加わってくるんじゃないのかなと感じています。

スターライト工業:尾茂弥阪神淡路大震災の教訓として、トイレにまつわるたくさんの問題は「災害用トイレの備蓄」「マンホールトイレの整備」「公助・自助・共助」のつながりづくりで解決ができると確信しています。災害が発生する前に「安心できる仕様の、十分な数のトイレ」を全国で備蓄しておく。また花岡の視点は「公助・自助・共助」からも非常に重要だと感じました。

短期間であっても避難所でのなれない生活自体がストレスとなり、日々積み重なると大きなものになっていきます。災害用トイレを通じてより快適な避難所生活をサポートできる可能性はまだまだたくさんありそうです。「より安心できる災害用トイレ」の追求はまだまだ始まったばかりだと改めて実感しています。

災害が発生する前に「安心できる仕様の、十分な数のトイレ」を全国で備蓄しておく

KOBE City:十都さまスターライトさんは防災訓練にも参加され、住民の方々の声を集めておられる。全国の自治体とも災害協定締結を進め、事業所内にも実際にマンホールトイレ設備を整備していらっしゃいます。そういったことからも災害用トイレに対する本気度が伝わってきます。災害用トイレの快適さを追求することで避難所生活全体が劇的に変わるんじゃないかと今日の対談で強く感じました。尾茂弥さん、これからも「より安心できる災害用トイレ」の開発を期待しています。

「より安心できる災害用トイレ」の開発

スターライト工業:花岡震災でのリアルなトイレ事情、とても勉強になりました。安心した避難所生活のためにも必要な数の災害用トイレの備蓄は大切だし、マンホール型トイレはずっと衛生的に使えるのでどんどん広がってほしいです。そして「備えておくことは大切だ」という被災された方々の切実な声も全国に届いてほしいです。むしろわたしたち世代が積極的にその大切さを伝えていかなければならないのかもしれませんね。さっそく家族や友人とも災害用トイレ情報(笑)を共有します。それとハザードマップを元に避難方法や避難場所を家族で再確認します。

KOBE City:入佐さま花岡さんの世代はSNSを使っての情報共有がとても上手い、あまり知られていない災害用トイレの備蓄の大切さをどんどん全国に広めていってください。私たちも負けていられないですね。

スターライト工業:尾茂弥「快適な災害用トイレの空間」を通じて避難所生活に安らぎと安心を、災害用トイレはそんな可能性を秘めていると思います。これからもわたしたちは機能とサービスで、より安全で安心・快適な暮らしをサポートしていきます。本日は対談ありがとうございました。

機能とサービスで、より安全で安心・快適な暮らしをサポート

[編集後記] モノからコト!?実地訓練で分かったこと

実際の避難所に設営したマンホールトイレを目にした地元の消防団や震災経験者の方々にお声がけいただき、「避難所のトイレ問題の解決につながるとても画期的なもの」とご評価いただき大変嬉しかったです。一方、訓練なしで震災時に実際に使っていただけるのだろうか?と疑問が残る点も。

モノの納品だけじゃダメだ。設営の実地訓練がないと!

マンホールの蓋を開けクイックハウスを組み立てるまでは想定どおりの簡単さだったのですが、いざ「マンホールトイレの洗貯水槽に地下水を引く」となったら、専門の方に立会ってもらっても手こずってしまったのです。震災時これでは使えないかもしれない…。この気づきを胸に、これからは、自治体や各省庁に呼びかけ、住民の方々と一緒になったマンホールトイレ設営の実地訓練を企画提案、推進してまいります。

マンホールトイレの設置
災害トイレ案内看板
貯水槽への蓋を開ける
本管を閉める

安全で安心・快適な機能とサービスで暮らしを支えてまいりました。
ぜひ、ご相談ください。

快適性や利便性を付加した商品・サービスの提案により、現場の安全衛生の向上や災害対策に貢献し、より安心でより良い暮らしづくりもサポートしています。お気軽にお問合せください。

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